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2007年10月29日

ナガサキアゲハその後 1999

 九月半ばに母なるチョウが産んだ卵は、すくすく大きくなって、今は三センチぐらいの幼虫に育っている。ミカンにつく他のアゲハと違い、ナガサキアゲハは四令まで濃い緑に白のラインを持っている。体の表面が濡れた感じなのはクロアゲハとそっくり。でも、保護色の深緑がミカンの葉に埋もれてしまうせいか、見つけるのは難しい。五令になるのはあと一週間かかるかもしれない。緑色は明るくなるが、五令の幼虫もその巨大さ以外は保護色のかたまりだ。さてさて、そのでかい幼虫にめぐりあえるかな?
 二か月が過ぎ、産みつけられた卵は十近くの蛹になった。大きくなるにつれてアオムシコバチが何匹か産卵に来ていたが、見つけるたびに僕が始末した。彼らには天敵がいないのか、動作が非常に緩慢で、人を困らせるような毒も持っていない。ぼくはあっけないほど簡単に指の腹で彼らをつまんで押しつぶす。
 枝で蛹化したのは緑、近所の壁などで蛹化したのは灰色がかった茶色。僕の必死の駆除もむなしく一匹がアオムシコバチの餌食になってしまったが、ほとんどは、来年の春まで深く長い眠りについた。
 Webで、大阪府の箕面市までナガサキアゲハの土着が報告されていることも知った。地球の温暖化の一端らしいが、僕は大歓迎。でも、専門家に言わせれば、生態系に狂いが生じるわけだから好ましいことではないのだろうな。



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